matumusibook’s blog

主張のはげしいひと

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漫画家のお金

はやい、あっという間に前回のブログから1週間以上経ってしまった。

なんだか毎回この本編原稿が終った後の仕事というのは1個1個はそこまで大掛かりな仕事でないにせよ細かい締め切りが多く落ち着かない。なので早め早めにやって落ち着きたいと思うとどこで休んだらいいか分からないという状況になってくる。

とりあえず今日は早朝に1個仕事を提出したのでゆっくりしたい。

 

 

先日ちょっと気になるツイートを見かけた。

 

「漫画家が1年以上編集と連載ネームを打ち合わせしてその間ギャラが一切でないのはおかしいのでは?ネームに値段を付けることは出来ないのか」

 

これに対して私が思う事を挙げてみたい。

率直に言うとこれは難しいと思う。ムカつく人が居るかも知れないが良かったら最後まで目を通してもらいたい。

 

一度ここで編集さんと漫画家の関係を整理してみる。

ツイート主の言う漫画家さんがどの程度の業績の人なのか分からない(ベテランか新人かでもちょっと変わってくる気がするので)ので、一応新人の漫画家さんとして話を進めたい。

 

漫画家は自営業で編集さんは出版社に所属するサラリーマンだ。

出版社から漫画の注文を受ける立場に我々はいる。

 

で、この連載に向けて製作してるネームだが(ネームは例えると企画書?みたいなものかな)この時点ではそのネームが仕事(連載)に繋がるかどうかはまだ分からない。

 

ということはつまり「お金になるかわからない」ものに時間をかけてお給料がもらえるのは出版社に所属している編集さんの特権で、自営業である漫画家が「お金になるか分らない」時点でお金を得るのはあまり現実的ではないのではと思う。

もっと言うと、その「お金になるか分らない」ものにお金を請求するということはそのやり取りしてる出版社とそういう契約を結ぶ事になってしまう。

 

私が注意したいのはここなのである。

 

プロで描いている漫画家でもたまにあるのが、例えば「A社で打ち合わせしていたネームがダメになり、それをB社に持って行く」という事をダメだと思っている、または思いつかない という人が居る。

 

編集さんも漫画家も人間なのだ。お互いのそりが合わなかったり描きたいものが編集さんの意向とは違ったり、長期間一緒にやってたけどこの人とは仕事に繋がりそうもないな…と感じる瞬間だってある。

 

そういう時にA社では上手く行かなかったからと言ってB社でもそうとは限らないのである。嫌だと思ったらどんどんほかの媒体に持ち込みした方が良い。

 

なので「お金が生じてない」やり取りはお金はないにしろ「自由」はある。

ここでもしネームにもお金を頂くという契約をしてしまうと(契約内容にもよるだろうが)そのネームは他で生かすことが出来ないのである。

 

私はその自由度が無い方が不安を感じる。

 

実際そういう構想を練る期間も作家と契約し、社員のように扱っている会社もあるにはあるし、私も持ち込みした媒体がそうだったことがあり、契約まで編集者に求められたが、いや確かに構想練る期間にもお金貰えるのは嬉しいけどそれってつまり縛られるってことで、その後もどんだけ働いてもこの給料でやんなきゃいけないってことじゃね!?って思ったのでやめた。

 

昔某大手出版社で契約を結んでしまい、どれだけ働いても雀の涙しかもらえなかったと語る大学の恩師の経験が役に立った。

 

 

自分の仕事がお金になるまでに時間がかかるのも仕方がないし連載が始まってもすぐに食っていけるわけじゃない。(連載開始して場所や道具も揃えたけど半年で打ち切りになった人も見ている)そこは他の仕事も同じなので出版社に求めるというよりは国にそういう自営業をわずかでも支えるシステムがあれば良いのにと思う。

 

 

だが、漫画家業界もこのままで良いとは全く思わない。

 

私はもっと質のいい漫画が増えるべきと思うので漫画家の給料はもっと上がるべきであるし、単行本の表紙カバーや描き下ろしのオマケページや書店特典にも原稿料が出るべきだ。(実は出ない出版社は結構ある。私がもらってるかどうかは返答を控える)

 

たまに「原稿料これだけしかもらえないから他の会社とも掛け持ちでやらないと」という漫画家をみる。

現状に満足していないんだったら原稿料はもっと高くあるべきだと交渉し、全体的にその印象を植え付けるのが商業漫画家として世に出ている漫画家の責任じゃないのか。(もちろん交渉してもダメだったという場合もあるとは思うが)

 

流石にしょっぱなから原稿料上げろは言い難いかもしれないが、連載の回を重ねるにつれて「あなたの注文した漫画を仕上げるのにはこれだけの期間を要します、これだけ貰えないと存続できません」という交渉はしていかないとダメだ。「〇〇円は難しいけど○△円でしたら…」と少しでも歩み寄る交渉をしてくれる出版社と仕事をした方が良い。

 

その上で話をネームに戻すが、もしネーム期間にもお金をもらうとしたら私は1話2話3話と決まった連載のネームに対してだったら貰うのは有りだと思う。(その分も一緒に原稿料で貰うという手もあるが)

 

長々と語ってしまったがとりあえず自分が漫画家として日頃どう思っているかも話せたつもりだ。

好きな事を仕事にしている以上、仕事の仕方も自由に考えるほうがいいのではないかと思っている。

 

 

よし、ゴロゴロしてこよう。